元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

 それはやはり聞いたことのない名前だった。

「早速会いに行ってみる?」
「うん。先生と約束しちゃったし。今行けばまだ教室に残っているかも」
「そうね、行きましょう!」

 そう言ってくれたアンナに私は笑顔で言う。

「私、ひとりで行ってくる」
「え!? でも」
「大丈夫。イザベラみたいに誤解だからって言うだけだもの。それに、下級生相手に2対1っていうのもちょっとね」
「確かにそうだけど……じゃあ、離れた場所から様子見ていていい? 心配だもの」
「勿論! ありがとうアンナ」

 そうして私たちは部屋を出て2年生の教室へと向かった。


 ――でも。


「手紙? なんのことですか?」
「え?」
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