元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
――最近よく耳に入ってくる奇妙な連続誘拐事件。
私たちくらいの歳の女性ばかりが狙われているらしいが、新聞や公な場では全く報道されず、あくまで噂としてだけ流れてくる。
他国からの謀略だとか、どこぞの王子様のお妃探しだとか、はたまた悪魔信仰者が乙女の生き血を求めているのだとか様々な憶測が飛び交っているがどれも真偽は不明。
アンナはこの話に興味津々だった。
「今回被害にあった子、この学園のすぐ近くに住んでるんですって」
「え!?」
流石に驚く。
「おかしいわよね。そろそろ学園から注意があってもよくない?」
「うん……」
「明日もユリウス先生に会いに行くなら、ちょっと聞いてみてよレティ」
「えー、さっき会わないようにって話したばかりでそれ言う?」
「あ、そうだったわ」
そうして私たちはクスクス笑ってからおやすみを言って目を閉じた。
(でも、明日の話題に丁度いいかも)
結局、明日もユリウス先生に会いに行く気満々で私は眠りについたのだった。