元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
固唾をのんで見守る中、ミレーナ先生は艶っぽい笑みを浮かべそのままユリウス先生に近づいていく。
「こんな時間にこんな場所で待ち合わせだなんて、一体なんのお話かしら?」
「実は、ミレーナ先生にお訊きしたいことがありまして」
「ふふ、なぁに?」
首を傾げながらミレーナ先生はまた一歩ユリウス先生に歩み寄る。もう二人の距離はほとんどなくて色んな意味でハラハラした。
そして、ユリウス先生は変わらず落ち着いた声音で告げた。
「ミス・クローチェに嫌がらせをしているのはミレーナ先生ですか?」
「!?」
よろけるようにミレーナ先生はユリウス先生から距離をとった。
「わお、どストレート~!」
アンナが興奮したように呟く。
私はもう息が止まってしまいそうだった。
「なんのことかしら?」
それでも笑みを崩さずにミレーナ先生は訊いた。
ユリウス先生は淡々とした口調で続ける。
「ここ数日、彼女の部屋に脅迫状ともとれる手紙が毎日届けられているそうです」
「それが、私の仕業だと?」
「えぇ。昨日の早朝、彼女の部屋の前にいるミレーナ先生を見たという生徒がいるんです」
早速核心をつくユリウス先生。
しかし、ミレーナ先生は平然とした顔だ。