元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
第二十二話
突然の乱入者に、流石のミレーナ先生もぎょっとした顔をした。
「な、なんなの、あなたたち!?」
ユリウス先生の方は怖くて見られなかった。
隠れて見ているようにとあんなに言われていたのに、約束を破ってしまった。
(でも、このままじゃユリウス先生が……)
「盗み聞きなんて気分が悪いわ。私、帰らせてもらいます」
不機嫌そうに言ってくるりと背を向けたミレーナ先生に、私はぐっと拳を握り思い切って口を開いた。
「ミレーナ先生も、ユリウス先生のことが好きなんですよね!?」
「はぁ!?」
ミレーナ先生がはじかれたように振り返る。
「ちょっと、あなたいきなり何を」
「だから私が邪魔だったんですよね?」
「あのねぇ、あなた……」
「でも、私もユリウス先生のことが好きなので、絶対に諦めません!」
ミレーナ先生の目が大きく見開かれる。
「だからミレーナ先生、私と正々堂々勝負しませんか?」
一呼吸でそこまで言って、私は肩で息をしながらミレーナ先生を真っ直ぐに見つめた。
……思わず強気なことを言ってしまったけれど、本当は心臓はバクバクで強く握り締めた両手は格好悪く震えてしまっていた。
ミレーナ先生は何か言いたげに口元を引きつらせていたけれど、少ししてからはぁと大きく溜息をついた。
「……いいわね、若いって」
「え?」