元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
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「酷い……辛い……会いたい……」
――翌朝。
ユリウス先生に会いに行けなくなってしまった悲しみで教室の机に突っ伏してぶつぶつと呻いていると、隣に座るアンナが苦笑した。
「まぁまぁ。真犯人がわかるまでの辛抱よ、レティ」
「真犯人め~~」
「何か、進展あったのか?」
「ラウル」
顔を上げると、気まずそうな表情のラウルが立っていた。
「俺、言われた通り心当たりを書いてきたんだけどさ」
そう言って、ラウルはポケットから取り出したメモ帳を広げて見せた。
そこにはずらりと女の子の名前が並んでいて、私はまたがっくりと机に突っ伏した。
……この子たち全員に確かめなければならないのだろうか。
「姫、朝からそんな暗い顔をして一体どうしたんだい?」
突如、そんなやたらと大きな声が降ってきた。
(姫……?)
なんとなく聞き覚えのある気がするその声と、教室のいつもとは違う騒めきに再びゆっくりと顔を上げると、まずあんぐりと口を開けているアンナとラウルが目に入った。――そして。
「久しぶりだね。また逢えて嬉しいよ、私の愛しい姫!」
ラウルのすぐ隣で両手を広げ赤い瞳を輝かせているその人物を目にし、私の口もあんぐりと開いてしまった。
「――ル……リュシアン様!?」
隣国の王子である彼が、なぜかこの学園の制服を身に纏い再び私の目の前に現れた。