元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

第二十四話


「つ~か~れ~たぁ~」
「ほんとお疲れ様、レティ」

 寝るばかりになってぐったりとベッドに突っ伏すと、アンナがそう声を掛けてくれた。
 あのランチタイムの後もリュシアン様は私の傍を離れず、放課後はなぜか私が学園内を案内することになり、もう一日緊張しっぱなしだった。

「ありがとう、アンナ。一緒にいてくれて」
「勿論よ。王子様だって言っても、一度レティを誘拐しようとした人よ? ふたりきりになんて出来ないわ」

 学園を案内するときもアンナは一緒について来てくれたのだ。
 隣のベッドに腰掛けながらアンナは続けた。

「まぁ、あの護衛の人は一応常識人みたいだけど、やっぱり完全には信用できないもの」

 案内の最中もマルセルさんはリュシアン様のすぐ後ろにぴったりとついていた。
 その間ほとんど口を開くことも表情を動かすこともなくて、今日だけではどういう人なのかいまいちわからなかった。
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