元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「まぁ、あの様子じゃあ、こっちの気持ちはお構いなしって感じだものね。しばらくの間って言ってたけど、いつまでここにいるつもりなのかしら」
「早く帰ってください~」
今日みたいな日がこれからしばらく続くなんて考えただけでげっそりしてしまう。
「でもほら、王子様が傍にいるお蔭で例の花瓶落とした犯人は下手にレティに手を出せなくなったんじゃないかしら。そこだけはちょっと良かったんじゃない?」
「う~~ん」
「あ、そういえばミレーナ先生、学園辞めたんですって」
「え!?」
思わずガバっと起き上がる。
「でも、だって、昨日の今日で……?」
「えぇ。急なことで男子たちが嘆いてたわ」
「……そう」
リュシアン様の件でいっぱいいっぱいで全然気付かなかったけれど、あんなに人気があった先生が急に辞めてしまうなんて騒ぎになるのは当然だ。
そのきっかけを作ってしまったのは、この私で……。
「レティ、まさか申し訳ないことしちゃったなーとか思ってないわよね?」
「え」
心を読まれたのかとびっくりする。