元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
するとアンナはやっぱりと呆れ顔で続けた。
「花瓶落とした犯人ではなかったけど、あの手紙だって十分酷いしめちゃくちゃ性格悪いんだからね。元々田舎に帰るつもりだったって言ってたしそれが少し早まっただけでしょ。だからレティは全く気にしなくてよし!」
「あ、ありがとう。……うん、そうだね」
アンナにそう言ってもらえて少し心が軽くなった気がした。
「ラウルと、あとイザベラにはちゃんと話さなくちゃ。心配掛けちゃったし」
特にイザベラはきっと花瓶の件もミレーナ先生だと思っているだろうから。
「ラウルに話すのは花瓶の犯人がわかってからでいいんじゃない? いい薬だわ」
そうしてアンナはベッドに横になった。
「それにしても、ユリウス先生はどう思っているのかしらね。王子様が留学してきたこと。知らないはずはないだろうし」
「うん……」
一番気になるのはやっぱりそこだ。
相談に行きたくとも、こうもリュシアン様にぴったりと傍にいられると迷惑がかかりそうで先生の部屋に近づくことすらできない。
(どっちにしても出禁なんだけど……)
「あぁ~ユリウス先生に会いたいよ~~」
呻きながら私は再びベッドに突っ伏した。
冷たくされてもいい。軽くいなされてもいい。
今はただ、ユリウス先生に会いたかった。