元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
⚔⚔⚔
「私、酷くない?」
夕刻、寮の自室に戻った私は開口一番そうぼやいて机に突っ伏した。
「酷くない酷くない」
アンナがクローゼットの鏡の前でアクセサリーを外しながら軽い調子で否定してくれる。
「忘れられてショックなのは、自分が一番わかってるはずなのに……」
ユリウス先生がセラスティアのことを憶えていなくて、3日寝込んだことを思い出す。
「本人も仕方ないって言っていたし。でも長年の、前世からの謎が解けて良かったじゃない」
「そうだけど……」
「理由を知って絆されちゃった?」
「それはない、けど」
即答するとアンナは笑った。
「折角の玉の輿なのに。まぁ、いくら小さい頃に助けてもらったからって、彼の行動は行き過ぎだものね」
「……でも、これまでの自分の態度を思い返すと、ほんと申し訳なくて」
セラスティアだった頃も含めて、彼には随分冷たい態度をとってきたように思う。
アンナがよいしょとベッドに腰を下ろして首を傾げた。
「うーん、でもだからって急に態度を変えるのもねぇ。どちらにしても気持ちには応えられないんだから、今まで通りでいいんじゃないかしら」
「私、酷くない?」
夕刻、寮の自室に戻った私は開口一番そうぼやいて机に突っ伏した。
「酷くない酷くない」
アンナがクローゼットの鏡の前でアクセサリーを外しながら軽い調子で否定してくれる。
「忘れられてショックなのは、自分が一番わかってるはずなのに……」
ユリウス先生がセラスティアのことを憶えていなくて、3日寝込んだことを思い出す。
「本人も仕方ないって言っていたし。でも長年の、前世からの謎が解けて良かったじゃない」
「そうだけど……」
「理由を知って絆されちゃった?」
「それはない、けど」
即答するとアンナは笑った。
「折角の玉の輿なのに。まぁ、いくら小さい頃に助けてもらったからって、彼の行動は行き過ぎだものね」
「……でも、これまでの自分の態度を思い返すと、ほんと申し訳なくて」
セラスティアだった頃も含めて、彼には随分冷たい態度をとってきたように思う。
アンナがよいしょとベッドに腰を下ろして首を傾げた。
「うーん、でもだからって急に態度を変えるのもねぇ。どちらにしても気持ちには応えられないんだから、今まで通りでいいんじゃないかしら」