元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
第三話
「セラスティアにも同じものがあったんです!」
そう、この薔薇の痣がセラスティアが聖女である証だった。
この証を持って生まれてきたから、セラスティアは聖女としての運命を辿ったのだ。
これを見ればきっと、先生も思い出してくれるに違いない……!
――そう、思ったのに。
先生は眉間を押さえ深く溜息を吐いた。
「何かと思えば……ミス・クローチェ。早く仕舞ってください。淑女のすることではありませんよ」
「え? あ、ごめんなさい……」
慌てて胸元を隠す。
下着が少しだけ見えていたことに気付いて今更ながら頬が熱くなった。
「まさかとは思いますが、他の方の前でも同じことを?」
「し、してません!」
ぶんぶんと思いきり首を振る。
「この話は、先生にしか……」
「その方が良いでしょうね」
その呆れかえったような冷たい声音に私は首を竦める。
「あの……これを見ても、何も思い出しませんか?」
「何も」
「そう、ですか……」
この聖女の証を見たらきっと思い出してくれると思ったのに。