元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
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「レティ、大丈夫? 顔色悪いわよ」
一時間目の授業中アンナがそう小声で心配してくれた。
私は苦笑しながら答える。
「ちょっと胃が……でも大丈夫。次はユリウス先生の授業だし、先生の顔見たらすぐに治ると思う」
「そう? 無理しちゃダメよ」
私は頷いた。
そう、次はユリウス先生の歴史の授業。その間ずっと先生の姿を見ていられるのだ。
そのためならちょっとくらいの胃の痛み我慢できると思った。
――なのに。
「次の歴史の授業は自習とする。皆静かに勉強するように!」
一時間目が終了して間もなく入ってきたジョン先生の言葉に私は愕然とした。
喜びに沸くクラスメイトを横目に私は教室を出ていく先生を追っていた。
「先生!」
「ん、どうした?」
「あの、ユリウス先生何かあったんですか?」
「あぁ、なんだか急用が入ったとかでつい先ほど学園を出られてね。2、3日中には戻るそうだよ」
「そう、ですか……」
(そ、そんな~~)
心の中で嘆いていると、ジョン先生が首を傾げた。
「何か授業で訊きたいことがあったかな?」
「あ、いえ、大丈夫です。失礼します」
そうして頭を下げながらも、ショックでなんだか足元がふらふらした。