元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
そう言いながら私はベッドから降りた。
立ち上がったときまだ胃に重い感じは残っていたけれど、それどころではなかった。
「そう? 無理はしちゃだめよ」
「大丈夫です。ありがとうございました!」
お礼を言って、私とアンナは医務室を出た。
そのまま足早に教室へと向かうと、アンナが後ろから戸惑うように訊いた。
「本当にもう大丈夫なの?」
「うん。それより、リュシアン様に今すぐ確認したいことあって」
「それって、さっきのクラウスさんのこと?」
私は頷く。
……私はずっと、セラスティアは18歳の誕生日に死んだのだと思い込んでいた。
でももしあのままクラウスと共に逃げていたのだとしたら。
――手筈は整っています。今すぐこの国を出るのです。
クラウスは確かにそう言った。
そして昨日リュシアン様が話していた、セラスティアの知らないクラウスとルシアン様が交わした約束。
あの後一体何があったのか、セラスティアがどうなったのか知りたかった。