元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「待ってるだけなのは嫌だし」
「……そ、それって、先生を探しにいくってこと!?」
「ちょっと待てよ!」
いきなり上がった怒声に驚き見れば、ラウルとリュシアン様とその後ろにマルセルさんが扉を開け立っていた。
「な、なんで……」
「ごめんね、レティシア。全部聞かせてもらったよ」
リュシアン様が申し訳なさそうに笑う。
ラウルが凄い形相でこちらに詰め寄ってきて、私は開けっぱなしだった胸元を慌てて隠した。
いつかのようにバンっと机に両手を着きラウルが怒鳴る。
「あいつを探しに行く? 行き違いにでもなったらどうすんだよ!」
「で、でも……」
確かに無謀かもしれない。
でも今のこの気持ちのまま、先生の帰りをただ待っているなんて――。
「レティが行くなら、俺も一緒に行くからな」
「え……」
そうしてラウルは机の上の書類を乱暴に手に取り目を通し始めた。
「あいつに会って、今度こそ洗いざらい全部吐かせようぜ」
「ラウル……うんっ!」
私は大きく頷いて、引き出しの中の捜索を再開した。