元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
(ユリウス先生、どこでこんなにたくさんの本見つけてきたんだろう)
そして、この中に知りたかった『何か』を見つけたから急ぎどこかへ出掛けたのだろう。
それはやはり私のこの異変に関することなのだろうか。それとも――。
ふぅ、と息を吐く。
やはりこれ以上ここで書物をただ読み漁っていても仕方ないのかもしれない。
その見つけた『何か』は先生が持ち歩いてしまっている可能性だってある。
(丁度ランチタイムだし、諦めてみんなでカフェテリアに行こう)
私は読んでいた書物を机に置いて、最後にもう一度と最初に調べた机の引き出しを開けてみた。と、
(あれ?)
奥の方で何かが鈍く光った気がした。
なんだろうとその棚を限界まで引っ張ってみると、隅っこにあった小さな金色のそれはコロンと転がった。どうやらバッジのようだ。
手に取ってみるとその金バッジには何かのシンボルが彫られていた。この学園のものではない。
(なんだっけ、これ)
どこかで見た気がするけれど思い出せない。
「なにか見つけたの?」
首を傾げているとアンナが隣にやって来て私の手元を見た。
「それって、憲兵隊のバッジじゃない?」
「!?」