元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
第三十八話
「ありがとうございました!」
私が頭を下げてお礼を言うと、大佐は笑うのを止めてきょとんとした顔をした。
「え? 今ので良かったんで?」
「はい!」
「……半分、冗談のつもりだったんですけどね」
大佐は拍子抜けしたように言って頭を掻いた。
「まあでも、あとは君のことくらいしか思い当たらないしなぁ」
「え?」
私が訊くと大佐はまた笑って続けた。
「あいつが調べていたことね」
「!」
どきりとする。顔が少し赤くなってしまったかもしれない。
そんな私を見て、大佐は優しく目を細めた。
「生に執着がないって言うんですかね、あいつ。ちょっと心配してたんで、守りたい人がいるって聞いたとき、なんというか、少しほっとしたんですよねぇ」
私は憲兵をしていたときの先生を知らないけれど、生に執着がないというのは少しわかる気がした。
「――っと、あんまり話すとアイツに恨まれそうなんで俺の口からはここまでにしときましょうかね。無事見つかったら、またこっちに顔出すように言っといてくださいよ」
「は、はい!」
私はローレン大佐にもう一度お礼を言ってそこで別れ、皆と共に賑やかな中央広場を後にした。