元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

 それを見たイザベラは少しムっとした顔をした。

「それで、なぜその聖剣をユリウス先生が探していますの? それに」

 イザベラの鋭い視線が私を捉えた。

「なぜユリウス先生は憲兵を辞めてまでレティシアさんの傍に? そういうお話でしたわよね? 先生とレティシアさんは一体どういうご関係ですの?」

 先ほどの大佐の話を聞いていれば、当然の疑問だ。
 皆の気まずそうな視線が私に集中する。
 ……話すしかないと、私は覚悟を決めた。 

「その、……信じてもらえるかどうかわからないんだけど」
「?」
「実は私、その『聖女』の生まれ変わりみたいで」
「……はい?」

 イザベラが眉を寄せて首を傾げる。
 聖女の物語がお気に入りだったというイザベラだからこそ、今までにない妙な緊張を覚えながら私は続けた。

「それで、ユリウス先生は前世で私の護衛騎士だったの」
「……」
「ちなみに私は前世でレティシアの婚約者だったんだ」

 そうして入ってきたのはリュシアン様だ。
 一応事実なので苦笑して、私は続ける。

「私、明日が18の誕生日で、もしかしたら聖女みたいに死んでしまうのかもしれなくて。ユリウス先生は多分、そんな私を助けようとしてくれているみたいなの」
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