元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「開けてみて」
「うん!」
アンナは笑顔で私の隣に座った。
丁寧にその包みを開けて出てきたのは、可愛らしいリボンの形をしたバレッタだった。
「わぁ、可愛い!」
「今のレティの髪型に似合うと思って」
「ありがとう。嬉しい。早速付けてみるね!」
「私が付けてあげる」
そうして、アンナは元々ついていた薔薇のバレッタを外し、そのリボンのバレッタを付けてくれた。
「うん、良かった。やっぱり似合ってる」
「ありがとう。大切にするね」
私たちが笑い合っているときだった。
コンコンと控え目にドアがノックされてドキリとする。
「こんな時間に誰かしら」
点呼は先ほど済んだばかりだ。
アンナが警戒を露わにベッドを立ち、ドアへ近づいていく。
私もドキドキとしながらその後についていった。
「――誰?」
「わたくしですわ」
「イザベラ?」
私たちは顔を見合わせて、ドアを開けた。
そして更に驚く。イザベラが枕を抱えていたからだ。
「ど、どうしたの?」
アンナが訊くと、イザベラはもじもじと恥ずかしそうに答えた。
「わたくし、どうしてもレティシアさんのことが気になってしまって。ご迷惑でなければ、今夜こちらのお部屋に泊まらせていただけないかしら」