元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
私たちはもう一度顔を見合わせてから、笑顔で頷いた。
「勿論! 入って」
「ようこそ、私たちの部屋へ」
「有難うございます! お邪魔しますわ」
イザベラは嬉しそうに顔を輝かせ私たちの部屋に足を踏み入れた。
「あ、でも、ベッドどうしよう」
「問題ありませんわ。わたくしは椅子でも床でも」
「そういうわけには……狭くて悪いけど、私のベッドで一緒に寝ようか」
私がそう言うと、イザベラは心なしか頬を赤らめ訊いた。
「……よろしいのですの?」
「うん!」
「確かに、レティに夜何かあったとき、すぐ隣に誰かいた方が安心だものね」
すると、イザベラは張り切るように両方の拳をぐっと握り締めた。
「わたくし寝相は良い方ですし、しっかりレティシアさんを傍で守りますわ!」
「あ、ありがとう」
⚔⚔⚔
それから、私たち女子3人はベッドに入って色んな話をした。
私の誕生日が近づいて、皆不安になっていたのもあるかもしれないけれど、話は尽きなかった。
(つい数日前まで、イザベラとこんなふうにお喋りできるなんて思ってもみなかったな)
「憧れだった聖女様とこんなかたちで出逢えるなんて。わたくし本当に感激していますのよ」
「はは、なんか、私でごめんね」
「なにを謝ることがありますの? レティシアさんはもっとご自分に自信を持っていいと思いますわ」
「それは私も同意!」
「えぇ……」
「でも、そういう控え目なところも聖女様らしいのかもしれませんわね」
そんなふうに言ってもらえて、なんだか照れてしまう。