元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
ユリウス先生が聖剣を探している理由がわかった。
先生は私がまた化け物になってしまう前に、この胸を聖剣で貫くつもりなのだ。
そのために、今日この日のために、再び私の前に現れたのだ。
(逃げなきゃ……!)
セラスティアの願いは叶った。
こうして生まれ変わって、再び巡り会うことが出来たのだから。でも……。
(何度生まれ変わっても、結局運命は変わらない……!)
……それからどのくらい経っただろう。
先ほどてっぺんに見えていた日も、もう大分落ちて見えなくなっていた。
街中から随分離れ、私はあの記憶の中のようにどこかの森の中を彷徨っていた。
息も切れて、なんとか一歩を踏み出している状態だったけれど、私の足は止まらなかった。
止まってしまったら、セラスティアの最期のようにそのまま動けなくなってしまいそうで恐ろしかったのだ。
でもそこで私の体力は限界を迎えたようだった。
がくりと湿った地面に膝をつき、そうなってしまったら本当にもう動けなくて。
怖くて、寂しくて、私はその場でひとりすすり泣いた。
――そんなときだった。
「見つけましたよ、ミス・クローチェ」
「!」
ゆっくりと振り向くと、涙で霞んだ視界にずっと会いたかった人の姿が映った。