元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「そうですよ。まったく、やっとその術を見つけたというのに、学園に戻っても貴女がいなくて流石に焦りました。間に合って本当に良かった。まさか、またこの場所だとは思いませんでしたが」
「また?」
「ここはあの時と同じ森の中です。……気付いていなかったのですか?」
「同じ、森……?」
私が目を瞬くと、彼はもう一度短く溜息を吐いた。
そして傍らに置かれていた聖剣を私の前に差し出した。
びくりと反射的に震えてしまった私に、先生はすぐに優しい声音で続ける。
「大丈夫。この聖剣で貴女は助かるはずです」
「でも、これは……」
「そう。大昔、聖女の証を何度も貫いてきた聖剣です。僕……いえ、クラウスも……あのとき貴女をこの剣で――」
どきりとする。
やはり、あのときセラスティアが感じた衝撃は――。