元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「だって、悔しいじゃないですか~!」
「何がですか」
「先生は全部知っていたのに、私だけ何にも知らないでひとりわたわたして……馬鹿みたいじゃないですか!」
――昨夜、腰が抜けたように立てなくなってしまった私を先生は学園まで抱えて運んでくれた。そのときに全てを話してくれた。
先生は最初から【呪い】の存在を知っていて、しかしそれが誰なのかわからず、私の周りにいる全ての人を疑っていたこと。(これにはアンナたちもびっくりしていた)
しかし【呪い】は必ず誕生日に襲ってくるとわかっていたから聖剣探しを優先させたこと。
「言ってくれていたら私も何か手伝えたかもしれないのに」
「はぁ……。貴女に全てを話していたら、何をしでかすかわからないじゃないですか」
「そんな、」
「それに。貴女に、大切な友人を疑って欲しくはなかったのですよ」
(あ……)
確かに【呪い】の存在を聞いていたら、私はもっと苦しい思いをしていたかもしれない。
(でもせめて、記憶があることは教えて欲しかったなぁ……)