元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「ということは、例のお話の関係者ですか?」
皆に問い詰められて、もう話すしかないと私は観念したのだった。
それから、私はアンナとラウルにはじめて前世の話をした。
物心ついた頃から見ていた夢。先生と出逢って、それが前世の夢なのだと確信したこと。
前世で私はとある王国の姫で、皆から“聖女”と呼ばれていたこと。
そしてユリウス先生は前世で私の従者であったこと。
……流石にその従者に恋をしていたことまでは恥ずかしくて言えなかったけれど、これまでの私を見ていたふたりにはきっとバレバレに違いない。
「信じてもらえるか、わからないけど」
「……」
話し終わっても、ふたりの顔がまともに見れなかった。
幼い頃から知っているふたりだからこそ、その反応が恐かった。
案の定ふたりは驚きを隠せない様子で、そんな中最初に口を開いたのはユリウス先生だった。
「それで、先ほどの彼は?」
「彼は……ルシアン様は、私の前世での婚約者だったんです」