元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「なんというか……随分と変わっちゃったのね……?」
「うん……」
「そ、それでもレティにはわかったんだもの! やっぱり素敵だわ!」

 アンナが気遣うように言ってくれて、私は苦笑する。

「――それにしても、例のあの彼」
「ルシアン様?」

 今は『様』なんて敬称は付けなくていいのかもしれないけれど、ついそう呼んでしまう。
 でもアンナは特にそれを気にする様子なく頷いた。

「確かに綺麗な顔はしていたけど、雰囲気がちょっと……前世の頃もあんな感じだったの?」
「うん……怖いくらいに変わってなかった」
「レティは、その、前世で彼のことを好きって気持ちは」
「まったく!」

 首を振って被り気味で否定すると、アンナは少しほっとしたような顔をしてから真剣な声音で続けた。
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