元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「……彼の目的はわかっているのですか?」
私は首を振る。
「わからないから話をしに行くんです。だから、そこを退いてください」
「出来ません」
間髪入れずに返ってきた言葉にぎゅうと強く拳を握る。
「……それは、私がこの学園の生徒だからですか?」
「その通りです。僕は教師ですから、生徒を守るのも仕事のうちです」
自分から訊いておいて、予想通りの答えにまた胸がちくりと痛んだ。
(ほらやっぱり、結局今も昔も変わらない)
クラウスは王国の騎士だから、王にそう命じられたから私にいつも優しくしてくれて、過保護なほどにいつも私のことを守ってくれた。
セラスティアもわかっていた。だからいつも、苦しんでいた。
(折角生まれ変わって再会出来ても、結局この胸の痛みは同じ……)
「これは、私と彼の前世の話です。ユリウス先生には関係ありません」
言いながら先生の顔が見られなかった。
気持ちがぐちゃぐちゃで意味もなく涙が出そうだった。
「だから、そこを退いてください」