元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
第十一話
「クラウス……貴方だったのね」
目の前に立つ従者を、セラスティアは穏やかな気持ちで見つめていた。
18度目の誕生日を迎えた今日。
この日のための特別な剣を携えて私の前に現れたのは、彼だった。
「……」
俯き何も言わない彼を見て、私は全てを察した。
あぁ、そうか。最初から決められていたのだ。今日、この日行われることは全て。
そういう運命だったのだ。
「良かった」
私の呟きに、彼の剣を握る手がぴくりと震えた。
「私の薔薇を貫くのが、クラウス。貴方で良かった」
他の誰でもない。
ずっと傍にいて、いつも守ってくれた大好きな貴方に殺されるのならば本望だと、私は心からそう思っていた。