元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
――そうだ。
セラスティアを、前世で私の胸を刺し貫いたのは……。
「なのに性懲りもなく、今でも君は彼女の傍にいる!」
ルシアン様の叫び声に私は現実に引き戻された。
立ったまま、あの頃の夢を見ていたみたいだ。
「君は、今世でも彼女を殺そうというのかい?」
「……」
ユリウス先生の答えを待たずに、ルシアン様は私に手を伸ばした。
「さぁ姫。今度こそ私が君を守ってあげる。だから安心してこっちへおいで」
私はゆっくりと首を横に振る。
「行けません」
そう答えると、彼の貼り付いたような笑顔がひくりと引きつった。
「……なぜだい?」