元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「私が、ここに居たいからです」

 例え前世で私を殺した人だとしても。それでも。

「彼の……ユリウス先生の傍に居たいからです」

 先生の手があの時のように小さく震えたように見えた。

 ――あの時、セラスティアはその運命を受け入れていた。
 その気持ちがわかるから。

「レティ……」
「だから貴方にはついて行けません。ルシアン様」

 もう一度はっきりと告げると彼はこちらに伸ばしていた手をぐっと握り、そのままゆっくりとローブの中に納めた。

「そう……残念だよ」

 諦めてくれたのだろうか。そのか細い声を聞いてそう思った。でも。

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