元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
それから視線だけをこちらに向け、小さく続けた。
「そういうわけですので、あなたたちは部屋に戻っていなさい。では、行きましょうか」
そうしてルシアン様を連れ門の方へと向かう先生の背中をしばらくポカンと眺めてから、
「はぁ~~!?」
ラウルがそんな情けない声を上げたのだった。
⚔⚔⚔
「アイツ、一体何者だよ」
結局部屋に戻る気にはなれず、外のベンチに腰を下ろし先生の帰りを待つことにした私たち。
先ほどの騒ぎが嘘だったかのように、ベルトリーニ学園は休日の穏やかな朝を迎えていた。
「ルシアン様?」
「ちが……いや、まぁ、そっちも気になるけどな。先生の方だよ」