元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「……うん」

 先ほどの先生を思い出して頷く。

「あの動き見たか? 普通の教師があんな真似出来るかよ」
「うん……。それに、ルシアン様のことも何か知ってるみたいだった」

 顔を青くしていたルシアン様。
 あのとき、先生は何を言ったのだろう。

「お前さ」
「え?」

 見ると、ラウルが呆れたような顔をしていた。

「その『ルシアン様』っての、もうやめないか?」
「え? あ、つい癖で……うん、もうやめる」

 先ほどラウルはルシアンさ……彼のせいで死にかけたのだ。
 良い気がするわけがない。
 と、ラウルはベンチの背もたれに身体を預け空を見上げた。

「前世ねぇ……」

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