元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
来月の誕生日、私は18歳になる。
今の私に奇跡の力なんてない。聖女の証もない。
だから前世のような酷な運命は待ち受けていない。
このまま何事もなく平和に過ぎるのだろう。
でも私にとってその日はやっぱり特別で――。
(せめてあの頃のような笑顔で「おめでとう」って言って欲しいなぁ)
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「その顔じゃ今日もダメだったの? レティ」
教室に戻ると友人のアンナが苦笑いを浮かべていて、私は力なく頷き彼女の隣の席に着いた。
アンナはふわふわの赤毛を揺らしそんな私に優しく笑いかけた。
「お疲れ様。レティがこんなに積極的だなんて思わなかったわ」
アンナは初等部の頃からの親友。でも前世云々の話はしていない。
親友だからこそ、きっとこんな話をしたら私がおかしくなってしまったと余計な心配をかけてしまうに違いない。
だから彼女は、私がユリウス先生に一目惚れをしてそれから猛アタックしていると思っている。