元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

 どきりとする。
 そんなこと全く考えていなかった。

「だからやっぱりレティは私が一番近くで守るわ。ラウルも、変な意地はってないでレティを守るのよ!」
「は!? 俺がなんで刺されたと……あ、いや、なんでもねぇ」

 ラウルが気まずそうにふいと目を逸らし、私は首を傾げる。

「あら? そういえば……ひょっとしてラウル、レティが心配でずっと外見張ってたの?」
「!」

 アンナが意外そうに言うと、ラウルはバツが悪そうな顔をした。

 ――そうだ、ラウルがいち早く彼に会っていた。ということは……。

「ラウルごめんなさい! ありがとう!」
「あ~~、くそっ、俺めちゃくちゃカッコ悪いじゃねえか!」
「そんなことない! 嬉しい……本当にありがとう、ラウル」

 昨夜あんなに怒っていたのに、本当は心配してくれていたのだ。
 心を込めてお礼を言うとラウルは珍しく照れてしまったようで。

「と、とにかく! まだ安心は出来ねぇってことだ。先生のことも……そういや、アイツが言ってたことは本当なのか?」
「え?」
「前世でお前を殺したのが……その……」

 急に言いにくそうに言葉を濁したラウルに、私は小さく笑って頷く。
< 74 / 260 >

この作品をシェア

pagetop