元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
ちなみに昨日先生からもらった絆創膏はまだ指に巻いたままだ。
もう傷は塞がっているだろうし、見る度ニヤついてしまってアンナからは散々からかわれたけれど、まだ外したくなかった。
「なので、先生も思い出せるように頑張ってください!」
「……思い出したら、それで満足なんですか?」
「え?」
ガタン、と先生が椅子から立ち上がった。
そのまま分厚い書物にまみれた机を回り込み、先生は私の目の前に立った。
「先生?」
こちらを見下ろすその目つきが少し怖くて私は首をすくめる。
……怒って、しまったのだろうか?
「その先を考えたことは?」
「え……?」