元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
「ミス・クローチェ。貴女はもう少し警戒心を持った方がいい」
眼鏡をかけ直しながら机の向こうへ戻っていく先生を呆然と目で追う。
「僕も教師である前に一人の男なんですよ。まぁ、幸い僕は子供には全く興味ありませんけど」
「……こ、子供!?」
「えぇ。僕から見たら貴女は子供です」
「ガーーン!」
またそんな声が口から漏れてしまった。
(確かに歳は10くらい離れているけど……)
と、私がショックを受けているときだ。
コンコンと背後の扉がノックされ、入ってきたのは――。
「朝からすみません。ユリウス先生、ちょっとお訊きしたいことが……ってあら? お話し中だったかしら」
(ミレーナ先生!)