元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

 ミレーナ先生はユリウス先生と同じ歴史教師で、美人で優しくグラマーだと男子に大人気の先生だ。
 彼女が入ってきた途端ふわっと良い香りがして、女の私でも思わずうっとりしてしまう。
 男子だけでなく、ミレーナ先生に憧れる女子は多い。

「大丈夫ですよ、今丁度終わったところです」

 そんな聞いたことのない柔らかな声に驚き振り返ると、ユリウス先生がミレーナ先生に優しい微笑みを向けていた。
 それから先生は私を一瞥すると、いつもの冷たい声音で言った。

「ミス・クローチェ。話は以上です。もう教室へ戻りなさい」
「~~っ、失礼します!」

 私はミレーナ先生の大きな胸を横目に、なんだか頗る負けた気分で退出したのだった。

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