元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「ミレーナ先生は全男子の憧れだからな。やぁ~同じ男として初めてアイツを見直したわ」
「ちょっとラウル」
「……ラウルもそうなんだ」
「あ?」
「やっぱり、みんなああいう女性が好きなんだ……」

 追い打ちをかけられた気分で私は再び机に突っ伏す。
 
「あー……いやまぁ、俺の好みはどっちかって言うと清楚で可愛い感じの」
「ラウルの好みなんて誰も聞いてないけど?」
「う、うるせーな! とにかく、もうアイツのことは諦めろってことだ!」

(諦める……?)

 ――ついさっき、諦めないと宣言したばかりで?
 
 むくりと私は起き上がった。

「諦めないもの」
「レティ!」

 アンナが嬉しそうに頷く。

「私は別に、先生の恋人になりたいとか、そういうのじゃないし」
「え? 違うの?」
「違うのか?」

 二人同時に訊かれてうっと言葉に詰まる。
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