元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。
私は先生に前世のことを思い出して欲しくて、それで18歳の誕生日におめでとうと笑顔で言って欲しい。それだけだ。
するとラウルはなんだか気の抜けたような顔をしてから、またこちらを小馬鹿にするように鼻で笑った。
「まぁそうだよな。レティとアイツじゃ全然釣り合ってねえもんなぁ。ははっ、そりゃそうだ!」
そうしてラウルはカラカラ笑いながら自分の席の方に戻っていった。
「なによあいつ、ホント失礼な奴ね。でもレティ、本当にそれでいいの? 先生のこと好きなんでしょう?」
「うん。大好き」
私は笑顔で言う。
「なら、」
「ちょっといいかしら?」
突然、甲高い声が会話に割り込んできてびっくりする。
目の前に立っていたのは、あまり嬉しくない相手だった。
「イザベラ……?」
金髪を見事な縦ロールにしたクラスメイトのイザベラは、私を見下ろし言った。
「レティシアさんに大事なお話があるの。放課後、少しばかりお時間くださらない?」