元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

第十五話


「お待たせ、イザベラ!」

 放課後、言われた通り中庭の噴水前に行くと彼女は仁王立ちで私を待っていた。

 イザベラ・マジョラーニ。王国屈指の商家の娘でいつも堂々とした立ち振舞いを崩さない彼女も、アンナたちと同じく初等部からのクラスメイトだ。
 でも私は彼女がちょっと苦手で。
 そのワケはというと……。

「話って、なに?」

 引きつっているであろう笑顔で訊くと、彼女は耳にかかった金髪縦ロールを優雅に払ってから口を開いた。

「単刀直入に申しますわ。レティシアさん、あなた最近ラウル様に近くありませんこと?」

 やっぱりそれか~~と私は頭を抱えたくなった。
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