元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

 そう、イザベラは初等部の頃からラウルのことが好きで、許婚である私に何かと突っかかってくるのだ。

「あなた以前仰ってましたわよね? ラウル様とはただの幼馴染でただの友人であると。許婚というのは名だけでお互いその気は全く無いと。覚えていまして?」
「勿論!」

 私は力一杯頷く。

「今も変わっていないから安心して!」
「……本当かしら? 実はわたくし聞いてしまったの」
「え?」

 ――嫌な予感。
 いや、彼女に呼び出されたときからずっと予感はしていたのだけれど。

「昨日の朝、ラウル様とレティシアさんが仲睦まじくベンチでお話されていた、と」
「!?」
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