元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「レティシアさん、あなた、ユリウス先生のことを?」
「そ、そう……」

 私が頷くと、彼女はゆっくりと口に手を当てとびきり甲高い声を上げた。

「レティシアさんたら、あんな年上が好みでしたの!? ――あ、いえ、失礼。好みは人それぞれですものね。まぁ、そうでしたの!」

 どうやら納得してくれたようで私はほっとする。
 
(よし、このまま乗り切ろう!)

 別に嘘をついているわけではない。先生のことが好きなのは事実だ。

「昨日の朝もね、先生が不審者を捕まえたって聞いて、私心配で外に出たの」
「そういえば、そんな話も聞きましたわ。ユリウス先生、無事で良かったですわね」
< 96 / 260 >

この作品をシェア

pagetop