男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
カイルはボーっとする頭で部屋に戻り、血と汗と雨で張り付いたシャツを脱ぐ、包帯を取り始めて傷口を見た。

左鎖骨下辺りを弾痕がくっきり残っていた。

表面はかろうじて塞がり止血出来ているが、まだまだ完全とはいかず少し動けば剥がれそうだ。

熱いシャワーを浴び頭が少しはっきりしてくる。
髪を乾かしながら現実を再認識する。

サラが居ない⁉︎
朝出かける時に待っていると約束したはず…

急に目の前が真っ暗になったような感覚を覚えカイルはその場に座り込む。

サラが居ない……。

雨の中、聖水を汲みに…俺の為に?

探しに行かなければ!!
一人で凍えているかも知れない…

夜の飛行は怖いと言っていた。
どこかで泣いているのでは⁉︎
誰が何故?サラに嘘の情報を…何の為に?

サラを捕らえる為か⁉︎

立ち上がり急ぎ執務室に行く。
ふとソファを見ると膝掛けに、机の上に飲みかけの紅茶と、籐籠に入った大量のクッキーが…

サラが作ったのか?
数時間前までここに居たんだ…
俺の帰りを待っていた…

片付ける余裕も無いまま急いで出て行ったんだ!

冷めた紅茶を手に取り飲み干す。

探しに行かなければ…。

そうだ!
ハクならば臭いで分かるかもしれない。

ドアを開け廊下に出ようと瞬間…
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