男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
なるほど、ルイ殿の策略だったのか。
羨ましい限りだ。

しかしあの男、国王陛下からのお見合い話しも蹴ったくらいだ。
いくら心があったとしても、そう簡単にはいかないだろうな。

そんな事を考えながら執務室に戻り、ショーンは俄然やる気を取り戻す。

昼間には雨は上がり虹が出る。

カイルはあれから12時間眠り続け、目覚めた時はお昼を回っていた。

「寝過ぎて頭が痛いなんていつ振りか…。」
とりあえず、シャワーを浴びボーっとする頭を叩き起こす。

サラの事を思い喪失感に襲われるが、彼女は大丈夫だと自分に言い聞かせる。

続き間になっている事務室に行く。

ショーンがソファに寛ぎながら何やらモグモグ食べていた。

「おい!それは俺のだ。」
ショーンを人睨みし、籐籠ごと奪う。

籠いっぱいに入っていたクッキーが半分程減っている。
「お前、一人で食べ過ぎだ。」

「なんだよー。やっと起きてきたのか。
俺がどれだけ一人で頑張ったか…
ちょっとは褒めて欲しいぐらいだ。
クッキーくらい食べてもバチは当たらないだろ。
でも上手くて手が止まらないんだよ、もう一枚。」

「ダメだ。俺はまだ一枚も食べてないのになんでお前が先に食べるんだよ。」
子供じゃ無いんだからと呆れつつ、やっと正気に戻ったなと、ショーンはひとまず安心する。

「あーーもう眠む過ぎる。後はお前に任せる。」
ソファに横になり既に寝ようとする。
サラの膝掛けを使うなと奪い取り、ショーンを起こす。
「おい。ここで寝るな!後、引き継ぎしろ。何処まで進めたか話してから行け。」
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