男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「そうか?
こんな、じゃじゃ馬を相手に出来るのはカイルぐらい強い男じゃ無いと難しいと思うんだが。」
「お父様、私にもカイル様にも失礼です!」
サラは怒って言う。
本当にそうなれたら幸せだなとサラは思いながら、何も答えないカイルを寂しく思う。
カイルが静かに話し出す。
「お父上は、…私の様な孤児院出身の者でも、サラ様の婿にと思って頂けるのですか?」
「生まれ育ちは誰も選べないだろう?
私はその過酷な環境でここまでの地位に上り詰めた貴方がとても誇らしく思うよ。
並大抵の努力では無かったはずだ。」
その言葉を聞き、カイルの心に希望が見える。
「もしも…今回の件が解決出来た暁にはサラ様を私に頂けないでしょうか?
もちろんサラ様の承諾が得られればですが…。」
えっ⁉︎っとサラはびっくりしてカイルを見つめる。
「本人が良ければ私は何も言わないよ。
むしろ君の様な男にもらって貰えたら安心する。」
ボルテは変わらず朗らかに笑い、ワインを飲み進める。
「これはめでたいなぁ。サラ少し考えてみたらどうだ?」
「と、突然その様な事を言われましても…。」
サラは真っ赤になって俯く事しか出来ない。
「せっかくの夕食を濁してしまい申し訳ありません。とりあえず、食べて下さい。」
サラにそう言って、カイルは何事も無かったかの様に食事を始める。
ボルテはそんな二人を見ながら、ルイの思惑通りになりそうだなぁと密かに喜んでいた。