男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
何とか食事が終わり部屋に戻ろうと席を立つ。
ボルテはさすがに飲み過ぎたようで、ルイに支えられながら部屋に戻って行った。

サラはどうすれば良いか分からず、
「おやすみなさい」とカイルに頭を下げて
そそくさとその場を離れようとする。

「サラ、少し話がしたい。」
カイルに止められ、振り返る。
目が合うと、ドキドキが止まらなくて顔もまともに見れない。

カイルはサラを連れてバルコニーへ出る。

空には星が満点に輝き月も優しく二人を照らしてくれる。

「サラ、さっきボルテ殿に言った事は本気だ。出来れば本当の婚約者になって欲しいと思っている。
だけど、直ぐに返事が欲しいとは言えない、晩餐会までに考えてくれたら嬉しい。」

熱い視線で見つめられサラはどう答えるべきか迷う。

好きだけど…それだけじゃ叶わないいろいろなしがらみもある。

「…分かりました。良く考えてみます。」
俯きがちにそれでもちゃんと向き合いたいとサラは頷く。

「ありがとう。」
カイルはサラの頭をポンポンと優しく撫ぜてくれる。
「部屋まで送る。」
そう言ってカイルは歩き出す。

「ありがとうございます。」
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