男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「サラ嬢は、花は好きか?」
「はい。お花を見るとひと時でも穏やかな気持ちになるので、とても癒されます。」
「そうか。城にも年中花が咲く温室があるんだが、今度見に来たらいい。
晩餐会の前に早めに来てくれても良いぞ。」
陛下はにこやかに笑い、紅茶をひと口飲む。
「ありがとうございます。
早めに行けたら良いのですが…。」
サラは瞬時に難しいと思う。
カイルは日々忙しくしているしそんな我儘言える訳がない。それに、ドレスの完成がギリギリだと聞いている。
「カイルは警備の準備で早く城入りするのだろう?その時に一緒に連れてこれば良いのではないか?」
「陛下…、こちらの都合も考えて頂きたい。彼女もいろいろ忙しいのです。」
カイルがため息をつきながら話す。
「そうだな。
晩餐会が終わったらカイルに1か月休みを与えよう。サラ嬢とのんびりすると良い。」
そんな簡単に言ってのける陛下はさすが国王だが、大きな仕事ほど後処理が大変な事をカイルは分かっている。
それを部下に押し付けて休暇とは可能なのか?
難しい顔で考え始めるカイルを陛下は呆れたように
「あまり深く考えるな。
後の仕事は副団長に任せればいいのではないか?
お前は一人で仕事を抱えすぎている。
たまには自分の為に時間を使うべきだ。」
「少し考えるお時間を…。」