男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「それより、せっかくですしバラ園でランチでもどうですか?」
カイルが気を取り直し、陛下を誘う。

ボルテもいかに庭が綺麗かを力説して、亡き上皇后の思い出話しに花が咲く。

それをサラは嬉しそうに微笑んで見守っていた。

夕方近くまで、陛下はカイルの邸宅に滞在し帰りは渋々家臣に連れられて帰って行った。

帰り際に、陛下はサラにこっそりと言う。

「晩餐会の時には是非、一緒にダンスを踊ろう。サラ嬢のドレス姿を楽しみにしている。」

にこりと笑顔を見せて去って行く陛下の後ろ姿を見送りながら、サラはダンスの練習をこれまで以上に頑張らなければと、焦りに似た感情に襲われたのだった。
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