男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「ご苦労だった。
ブルーノを厩舎へ連れて行ってくれ。」

護衛二人に労いの声をかけ、サラを軽く持ち上げ馬に乗せてくれる。

背後にカイルは跨り、サラを気遣いながら馬を走らせる。
腹部にそっと回わされた腕にサラはドキドキが止まらない。

「ボルテ殿が夕食を共にと、待っている。」

「お父様の体調は大丈夫そうですか?」
サラは少し振り返ると思ったより近くてドギマギしてしまう。

「久々の遠出だっから心配していたが、大丈夫そうだ。」
カイルは落ち着いた声で話し、サラに微笑む。

「そうですか、良かったです。」
サラも微笑みをカイルに返し、変わらず優しいカイルに安心感を覚える。

「お庭が広くて、お城が見えないですね…。よく私が来た事にお気付きになりましたね。」
広すぎる庭は、まるで草原の様で続く小道の先にまだ城は見えない。
ここが本当に城内なのかと思うぐらいだ。

「丁度、ハクに餌を与えていた所だったんだ。」

「お忙しいのに大変ですね…。
明日の朝は私がハクにご飯を届けましょうか?」

「いや、ここまで来るのは大変だから。
明日、一緒に来るか?
ブルーノも同じ厩舎に入る筈だ。」
二匹の竜はいつの間にか仲良くなり、自由な時間はよく二匹で空を飛び回るほどになっていた。

サラは明日は忙しい日なのに、束の間二人きりになれる事を嬉しく思う。

「はい。是非行きたいです。」

「サラ、明日は出来るだけ側に居るようにする。
カターナ国からの要人も既に何名か到着しているから、一人にならない様に今日から護衛を付けるから用心して欲しい。」

「はい、分かりました。出来るだけお父様と居る様にしますね。」
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