男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
はははっと笑ってカイルがやっと離してくれる。
「私の反応を見てからかっていらっしゃるんですか?」
頬を膨らませてサラは抗議する。

「サラが可愛いいから仕方ないだろ。」

か、可愛いい⁉︎団長がそんな事言うなんて…
と、サラは衝撃を受けてしばらく固まる。

「どうした?そろそろ行かないとボルテ殿が飲み過ぎてしまうぞ。」
今日のカイルはなんだか変だ、とサラは思う。
良く笑うし、軍服を着ているのにまるで素のままでいるみたい。
明日の事で緊張している私を気遣ってくれてるのかしら?
少し不思議に思いながら、カイルに促されるままに廊下を歩く。

「ここは、広過ぎて迷路みたいだから一人で出歩くなよ。ちなみに、サラの部屋の隣が俺の部屋とボルテ殿の部屋になってる。
何かあったら夜中でも構わないから、直ぐに呼んで欲しい。」

「そうなんですね。分かりました。」
カイルはサラの手を取った歩き出す。
えっ⁉︎とサラは戸惑う。

すれ違う使用人の目が気になるし、さっきから心臓のドキドキが止まらない。

「カイル様…、手を離してもらえませんか?皆に見られているみたいで恥ずかしいです……。」

「堂々としていればいいのでは無いか?
婚約しているんだ、何も隠す事は無いだろ。他の者に牽制になって丁度いい。」

「えっ…、恥ずかし過ぎるんですけど…。」
困り顔のサラも可愛いいなとカイルは思いながら、気にせず手を引いて歩き続ける。

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