男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「サラ、ここに滞在中は一人で出歩かないで欲しい。」
追って来たカイルに腕を掴まれビクッとして振り返る。
「あっ、、ごめんなさい。気を付けます…。」
サラは素直に謝る。
「俺が心配だから…。
出来るだけ側にいて欲しい。」
そう言って手を取られ歩き出す。
どうして今日はこんなに優しいのだろう?
再会してからずっと疑問に思っていたけど聞き出す勇気が無い。
「明日の話をしたい。少し時間いいか?」
「はい…。」
カイルの部屋に招かれてソファに座ると、紅茶の用意まで自らしようとするので、
サラは慌てて立ち上がり、代ろうとするが拒まれ、また座らされて、所在無くカイルの姿を見つめる事しか出来なかった。
カターナ国では、特に貴族出身者の男性が自分からお茶を入れる姿を見る事はまず無い。
カイルにとってはそれが普通の様だが、サラにとっては驚きでしか無い。
「男の方がお茶を用意する姿を初めて見ました。」
「こちらでは特に珍しくも無いが?
招いた側がするべきであると思うし、当たり前の事だ。」
隣国との違いを再発見してサラは今更ながらカルチャーショックを受ける。
カイルが砂糖は?ミルクは?と聞くので、願いすると全て入れてかき回すまでしてくれた。
目を見開いて驚くサラを可笑しそうに笑って、
「まぁ、ここまでするのは過剰なサービスだが。」
そう言って、ミルクティーをサラの前に置く。カイルも自分のカップを持ってサラの横に並んで座る。
向かい合って座るのが普通なのでここでもまた、びっくりする。
距離が近くてドキッとしてしまう。
「何故そんなに驚く?」
カイルは不思議そうに尋ねる。
「今、始めて外国にいるんだとカルチャーショックを受けています…。」
カイルは笑いながら、
「隣に座ったのは別にこっちのマナーでは無い。俺が単にそうしたかっただけだ。
婚約者として距離感をもっと縮めたい。」
「何故、突然⁉︎」
「本当はもっと早く二人の時間を作りたかったが、出来なかっただけだ。
それに遠慮する事も辞めた。
サラを娶りたいから本気でいく。」
からかってるのかと顔色を伺えば、カイルは真顔で真剣だった。
「明日、待っていればきっと敵から動く筈だ。そのタイミングを見逃さないようにサラから目を離さないでいたい。」
「お父様が狙われる可能性は?」
「ボルテ殿は亡命中の身、国に戻らないなら命までは狙われない筈だ。
今、敵にとって一番邪魔なのは俺だろう。
前の海賊との戦いでそれは明確だから、俺の大事な者を奪いに来るはずだ。」
カイル団長の大事なものが私⁉︎
「カイル様を巻き込むべきではありませんでした…。」
今更ながら、申し訳ない気持ちが湧き上がってくる。
「何故そうなる?
俺はサラが俺に会いに来てくれた事に感謝している。サラに会えて生きる意味を見つけた。」
「生きる、意味ですか?」
「今までずっと、俺は軍人として死ぬ意味だけを求めて生きていた。
だが、今はサラを守り続ける事が生きる意味であり、俺の存在価値だと思っている。」
カイルの熱い思いに始めて触れた気がする。
真っ直ぐ見つめる熱い眼差しに、揺るぎない思いが伝わってくる。
「身分も、国籍も、何もかもが不釣り合いだと思っていた時もあったが…
俺の手で幸せにしたいと心から思っている。」
堪えきれずにサラの瞳から涙が溢れる。
こんなにも思っていてくれたなんて…。
カイルは怪訝な顔をしてサラの涙を長い指で拭う。
「その涙の意味は?」
静かに問われサラは答える。
「大好きです…私も貴方とずっと一緒にいたい。」
「良かった…。振られるのかと思った。」
苦笑いを浮かべるカイルの顔を覗き見て、ふふふっとサラは笑う。
「約束して下さい。
明日、何が起ころうと、私の盾になって死のうと思わないで下さいね。私の為に生きて下さい。」
サラはカイルの大きな手を取って両手でぎゅっと包み込む。
その手に引っ張られ、不意に抱き寄せられる。
鼓動が高鳴る。
しばらく二人抱き合ったままお互いの鼓動を感じ安堵する。
「分かっている、心配するな。
さぁ、明日の為にそろそろ寝なくては。」
そうは言ってもお互い離れがたい。
「部屋の前まで送るから。」
カイルは握ぎられたままの手を離さないで立ち上がる。
「明日は、俺が迎えに行くまで絶対に外に出ないように。」
そう言って、半ば引っ張られるようにサラの部屋の扉前まで送ってくれた。
「おやすみなさい。」
サラは握っていたカイルの手を離し、そっと頭を下げる。
「おやすみ。」
そう言って、カイルはそっとサラの頬にキスをした。
追って来たカイルに腕を掴まれビクッとして振り返る。
「あっ、、ごめんなさい。気を付けます…。」
サラは素直に謝る。
「俺が心配だから…。
出来るだけ側にいて欲しい。」
そう言って手を取られ歩き出す。
どうして今日はこんなに優しいのだろう?
再会してからずっと疑問に思っていたけど聞き出す勇気が無い。
「明日の話をしたい。少し時間いいか?」
「はい…。」
カイルの部屋に招かれてソファに座ると、紅茶の用意まで自らしようとするので、
サラは慌てて立ち上がり、代ろうとするが拒まれ、また座らされて、所在無くカイルの姿を見つめる事しか出来なかった。
カターナ国では、特に貴族出身者の男性が自分からお茶を入れる姿を見る事はまず無い。
カイルにとってはそれが普通の様だが、サラにとっては驚きでしか無い。
「男の方がお茶を用意する姿を初めて見ました。」
「こちらでは特に珍しくも無いが?
招いた側がするべきであると思うし、当たり前の事だ。」
隣国との違いを再発見してサラは今更ながらカルチャーショックを受ける。
カイルが砂糖は?ミルクは?と聞くので、願いすると全て入れてかき回すまでしてくれた。
目を見開いて驚くサラを可笑しそうに笑って、
「まぁ、ここまでするのは過剰なサービスだが。」
そう言って、ミルクティーをサラの前に置く。カイルも自分のカップを持ってサラの横に並んで座る。
向かい合って座るのが普通なのでここでもまた、びっくりする。
距離が近くてドキッとしてしまう。
「何故そんなに驚く?」
カイルは不思議そうに尋ねる。
「今、始めて外国にいるんだとカルチャーショックを受けています…。」
カイルは笑いながら、
「隣に座ったのは別にこっちのマナーでは無い。俺が単にそうしたかっただけだ。
婚約者として距離感をもっと縮めたい。」
「何故、突然⁉︎」
「本当はもっと早く二人の時間を作りたかったが、出来なかっただけだ。
それに遠慮する事も辞めた。
サラを娶りたいから本気でいく。」
からかってるのかと顔色を伺えば、カイルは真顔で真剣だった。
「明日、待っていればきっと敵から動く筈だ。そのタイミングを見逃さないようにサラから目を離さないでいたい。」
「お父様が狙われる可能性は?」
「ボルテ殿は亡命中の身、国に戻らないなら命までは狙われない筈だ。
今、敵にとって一番邪魔なのは俺だろう。
前の海賊との戦いでそれは明確だから、俺の大事な者を奪いに来るはずだ。」
カイル団長の大事なものが私⁉︎
「カイル様を巻き込むべきではありませんでした…。」
今更ながら、申し訳ない気持ちが湧き上がってくる。
「何故そうなる?
俺はサラが俺に会いに来てくれた事に感謝している。サラに会えて生きる意味を見つけた。」
「生きる、意味ですか?」
「今までずっと、俺は軍人として死ぬ意味だけを求めて生きていた。
だが、今はサラを守り続ける事が生きる意味であり、俺の存在価値だと思っている。」
カイルの熱い思いに始めて触れた気がする。
真っ直ぐ見つめる熱い眼差しに、揺るぎない思いが伝わってくる。
「身分も、国籍も、何もかもが不釣り合いだと思っていた時もあったが…
俺の手で幸せにしたいと心から思っている。」
堪えきれずにサラの瞳から涙が溢れる。
こんなにも思っていてくれたなんて…。
カイルは怪訝な顔をしてサラの涙を長い指で拭う。
「その涙の意味は?」
静かに問われサラは答える。
「大好きです…私も貴方とずっと一緒にいたい。」
「良かった…。振られるのかと思った。」
苦笑いを浮かべるカイルの顔を覗き見て、ふふふっとサラは笑う。
「約束して下さい。
明日、何が起ころうと、私の盾になって死のうと思わないで下さいね。私の為に生きて下さい。」
サラはカイルの大きな手を取って両手でぎゅっと包み込む。
その手に引っ張られ、不意に抱き寄せられる。
鼓動が高鳴る。
しばらく二人抱き合ったままお互いの鼓動を感じ安堵する。
「分かっている、心配するな。
さぁ、明日の為にそろそろ寝なくては。」
そうは言ってもお互い離れがたい。
「部屋の前まで送るから。」
カイルは握ぎられたままの手を離さないで立ち上がる。
「明日は、俺が迎えに行くまで絶対に外に出ないように。」
そう言って、半ば引っ張られるようにサラの部屋の扉前まで送ってくれた。
「おやすみなさい。」
サラは握っていたカイルの手を離し、そっと頭を下げる。
「おやすみ。」
そう言って、カイルはそっとサラの頬にキスをした。