男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
馬車は道を外れ、温室の方へと消えて行く。

「温室を包囲する。待機の部隊に至急伝えろ。」
「了解!!」

団員は待機部隊を呼ぶ為、今来た道を戻る。
カイルは一人サラを追い、温室へと馬を走らせる。

温室はホール程の広さで、忍び込まれたら見つかり難い場所でもある。

馬から降りると同時に軍服を脱ぎ、身軽になって走り出す。

温室の中は照明が落ちている為暗く、まるでジャングルの様だった。

カイルは素早く、頭に温室の地図を思い描き、人が隠れ易い場所を考える。

温室の中央に管理室がある。肥料庫も地下にある。どっちだ?
一瞬迷うが、入口から近い地下に焦点を決め、銃を構えながら先に進む。

慎重に歩き進めると、地下に降りる階段の扉が若干空いていることに気付く。
ここだと確信し、用心に越したことは無いと、閉められないよう扉の鍵を壊してから中に入る。

階段を5段ほど降りた所に、サラが履いていた華奢な白いヒールの靴が落ちていた。

思わず手に取り抱き締める。
靴はまだほのかに温もりを感じる。
サラは大丈夫だ。

心が少し落ち着きを取り戻す。

階段を降り廊下を進むと両サイドにドアが並ぶ。
どこだ?
銃を構え片っ端からドアを開ける。

鍵がかかっている部屋もある。
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