男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

ホッとしたのも束の間、ドアから人の気配を察しカイルは警戒する。

3人屈強な男が入って来て、カイルは羽交締めにされる。
サラと共に脱出する為、ここは大人しく捕まるべきだと判断する。

後ろ手に縄で縛られカイルは、手荒く床に放り投げられる。
サラはまだ目を覚まさない。

カイルとサラは運良く同じ部屋に閉じ込められた。

今頃、竜騎士団によってこの建物は包囲されてる筈だ。
下手に動くより応援を待つべきか?
それともサラを担いで脱出するか…

足と手を縛られながらもカイルには勝算がある。カイルにとっては縄抜けなんて簡単な事だった。
ものの5分で手の縄を解き、足の縄を外す。
急いでサラに近付き抱き上げる。

体が冷たい、息はある、カイルはホッとして息を吐く。

「サラ、サラ?」
呼びかけてみる。動きが無い。
唇に鼻を寄せる。微かに刺激臭を感じる。
薬品を嗅がされたか?

聖水が効けばいいが…。

サラからもらった小瓶を取り出す。
半分程口に含み、口移しで流し込む。

サラがこくんと小さく呑み込む。祈りにも似た気持ちで祈る。目覚めてくれ。

後ろ手に縛られた手をそっと解く。指先が氷の様だ…ぎゅっと抱き締めて暖める。
< 256 / 282 >

この作品をシェア

pagetop